Research

■赤緑色覚異常者のためのマルチスペクトル画像を用いた色強調手法
■ 研究概要 ■
 本研究では,赤緑色覚異常者が混同しやすい色をより識別しやすくするための画像強調手法を提案します。従来の手法は,色の表現に三刺激値を用いて色覚異常者の見えをシミュレーションするものに基づいているため,色覚異常者の見え表現や識別性の向上に限界がありました。本手法では,より広範な波長情報を含むマルチスペクトル画像を使用し,赤緑色覚異常者が認識しにくい波長成分を強調するアプローチを採用しています。
 具体的には,マルチスペクトルデータに対して主成分分析を適用し,赤緑反対色応答に重要な成分のみを強調することで自然な色調を維持しつつ,視覚支援効果を高めます。提案手法による強調と従来手法による強調を比較し,識別可能色数や画像差分評価に基づく定量評価においても優れた結果を示しました。提案手法は,赤緑色覚異常者にとってより自然で認識しやすい画像表示が可能となることを示しています。

研究画像

なお,この研究はJKA補助金(Project No. 2024M-433)を受けて実施され,以下の論文に成果が掲載されました。

  • K. Sato and T. Suwaki. Color Enhancement for Red-Green Color Deficiency Using Multispectral Image. Journal of the Optical Society of America A, accepted.