令和5年6月30日 更新
●例
を
に変換する。
●ガウス関数の基礎
例えば、ある学校(生徒数750人)のテストの成績が、次のような
グラフで表されるとします(横軸は得点、縦軸はその人数。満点が100点で平均点が50点)。
このとき、x = 0からx = 100の範囲でこのグラフで囲まれた部分の面積が
750となります。
一般に、自然界で起こるあらゆる現象は、このような曲線で表されると
言われています。この曲線を正規分布、またはガウス関数と呼んでいます。
ガウス関数の一般式は、次のようになっています。
このグラフで囲まれた面積を1とするために、通常は、次の式のように
規格化します。
(式1)
ここでμは平均、σは標準偏差(σ2は分散)を表します。μをゼロとすると
(式2)
となり、y軸に対して左右対称の関数になります。
図1にσ = 1およびσ = 2の場合を図示します。
図1:ガウス関数(式2)。
σ = 1(細長い方)、σ = 2(幅広い方)。
x軸と囲まれた面積は、σの値によらず1となります。
(式3)
●ガウス関数の数学的な特徴
(変曲点)
x = ±σで変曲点をとります。
(式4)
(最大値)
x = 0で最大値hをとります。
(式5)
ちなみに
なので,変曲点における高さは,最大値の約0.6倍です。
(半値幅)
のとき、最大値の半分の高さ
(式6)
になります。このときのx座標の左右の広がりの幅
を半値幅(FWHM)と呼びます。
実験などで半値幅が求められるならば
(式7)
(式8)
によって標準偏差を求めることが出来ます。
なので,半値幅を2.4で割れば標準偏差σが得られます。
●ガウス分布の確率
(図は,こちらから引用しました)
ガウス分布は確率を表します。
(式9)
(式10)
-σからσまでの範囲
|
68.3%
|
-2σから2σまでの範囲
|
95.5%
|
-3σから3σまでの範囲
|
99.7%
|
だからCrystalStructureでは3σの範囲で十分です。
●EXCEL関数normsdistを用いるときの注意
Z
|
=normsdist(Z)
|
意味
|
確率
|
0
|
0.500
|
0.5+0.000
|
0.00%
|
1
|
0.841
|
0.5+0.341
|
68.3%
|
2
|
0.977
|
0.5+0.477
|
95.5%
|
3
|
0.999
|
0.5+0.499
|
99.7%
|
関数normsdistをそのまま使ってしまうと
確率の値が大きくなってしまいます。
これは、半分(0.5)から始まるためです。
累積値であることに注意してください。
具体的には、0.5を引いて二倍すれば確率になります。
●EXCELを用いるときの便利な関数例
平均
|
=average(範囲)
|
正規分布
|
=normdist(x,μ,σ,false)
|
標準正規累積分布
|
=normsdist(Z)
|
標準偏差(s);標本
|
=stdev(範囲)
|
標準偏差(σ);母集団
|
=stdevp(範囲)
|
EXCELで書くときの具体例
A
|
B
|
C
|
D
|
E
|
|
1
|
幅
|
10
|
|||
2
|
x
|
250
|
387
|
399
|
412
|
3
|
100
|
=normdist($A3,B$2,$B$1,false)
|
|
|
|
4
|
101
|
|
|
|
|
5
|
102
|
|
|
|
|
6
|
103
|
|
|
|
|
後は、B3セルを縦横にコピーする。最後に合計(total)を忘れないように。
$A3;xは必ずA列目だから絶対座標$Aとする。
B$2;μは必ず2行目だから絶対座標$2とする。
$B$1;σは必ずB1だから絶対座標$B$1とする。
false;もしもtrueにすると関数は累積になる。
このページ作成のメモ
母集団の平均は、標本から得られた平均の分布の平均に一致する。
母集団の標準偏差は、標本から得られた平均の分布の標準偏差よりも大きい。
香川大学工学部材料創造工学科 石井知彦