第7回
2012年度DV-Xα夏の学校



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 第七回DV-Xα夏の学校が終了いたしました。八王子セミナーハウスは、さすがにサマースクールのメッカらしく、多くの団体さんで賑わっていました。私たちも、大勢の若い学生さんとともに五日間のセミナーを無事終了することが出来ました。


参加者リストと写真


概要

DV-Xα研究協会第七回夏の学校:「量子材料科学」セミナー

主催

DV-Xα研究協会(HP)

協賛(予定)

公益社団法人日本化学会 (HP)
錯体化学会 (HP)
社団法人日本鉄鋼協会 (HP)
公益社団法人日本表面科学会 (HP)
日本鉱物科学会 (HP)
公益社団法人日本材料学会 (HP)
社団法人電気化学会 (HP)
日本希土類学会 (HP)
一般社団法人日本原子力学会 (HP)
日本結晶学会 (HP)
社団法人日本金属学会 (HP)
ナノ学会 (HP)
フラーレン・ナノチューブ・グラフェン学会 (HP)
社団法人高分子学会 (HP)
日本結晶成長学会 (HP)
日本生物物理学会 (HP)
日本素材物性学会 (HP)
日本放射線化学会 (HP)
日本材料科学会 (HP)ほか

対象

学部生・大学院生と若手研究者(30名まで)

日時

平成24年8月21日(火)午後1時から25日(土)正午まで(4泊5日)

場所

大学セミナーハウス(八王子セミナーハウス)(HP)
〒192-0372 東京都八王子市下柚木1987-1(場所はこちら)(マピオン)
電話:042-676-8511
京王線北野駅北口3番バス乗り場から、京王バス「南大沢駅行き」または
「由木折返場行き」で10分、「野猿峠」停留所下車、停留所より徒歩5分。
京王線北野駅からタクシー5分
(アクセスについては、こちらをご覧下さい(HP))

講師

足立裕彦(京都大学名誉教授)
森永正彦(名古屋大学名誉教授)
石井知彦(香川大学教授)

内容

1.序論
2.原子構造理論と電子状態計算の実習
3.分子軌道論と簡単な分子の軌道計算
4.金属錯体の電子状態計算と化学結合論
5.セラミックス、金属材料の量子化学

費用

参加費(食費、宿泊費、資料代込み)
(食費は21日の夕食から25日の昼食まで12食を含む)
学生 45,000円
一般 60,000円 (DV-Xα研究協会又は協賛学協会の正会員)
70,000円 (非会員)

※計算実習を行うので各自パソコンを持参のこと。

振込先

(1)または(2)のいずれかの口座に、8月8日までに
振込をお願いします。また、振り込みましたら事務局または
石井までお知らせ頂けましたら幸いです。

(1) 郵便局の振替口座

通信欄に「夏の学校参加費」と書いて郵便局窓口で振り込んで下さい。

振込先:DV−Xα研究協会 01010-5-52330

(2) 銀行の口座

京都銀行銀閣寺支店 普通 3250955 DV−Xα研究協会 代表 脇田久伸

申込締め切り

平成24年8月8日(水)
宿泊施設の都合で、先着30名までで締め切らせていただきます。
なお、準備の都合がありますので、できるだけ早く
申し込んで頂けましたら幸いです。

申込先

〒520-0016 滋賀県大津市比叡平3丁目53-12
DV-Xα研究協会事務局
Tel & Fax: 077-529-0374
e-mail: dvxa@e-mail.jp
申し込みは、メールでお願いします。

問い合わせ先

〒761-0396 香川県高松市林町2217-20
香川大学工学部材料創造工学科
石井知彦
Tel & Fax: 087-864-2414
e-mail: tishii@eng.kagawa-u.ac.jp


第七回夏の学校「量子材料科学セミナー」実施報告

香川大学工学部 石井知彦

  DV-Xα研究協会では、毎年夏に、若手の研究者と大学生・院生を対象とした夏の学校「量子材料科学セミナー」を開催しています。七年目の今回は、サマースクールのメッカとして有名な、八王子セミナーハウスで開催いたしました。

 八王子セミナーハウスは、東京周辺に本拠地を構える数十の大学が協力し合って運営しているセミナー施設で、いつも様々な団体の集会が開かれています。特に夏の学校は以前から盛んで、今回も様々な団体の皆様とご一緒でした。そのため、食堂は常に混雑していて、朝食や昼食などでは、食事を開始するまでに毎回かなりの時間を費やしました。朝食はさておき、夕食のレベルは高く、質・量ともに満足のいく内容でした。

 セミナーは、記念館という建物をお借りして行いました。この建物は、セミナー室と宿泊室が同じ建物の中に配置されているため、とても便利でした。ここで行われた足立先生のセミナーでは、基礎(座学)と応用(演習)とを交互に繰り返すもので、どちらかに偏ることなくバランス良く学ぶことが出来ます。毎年足立先生のエネルギーには恐れ入るのですが、朝9時から夕方5時までのセミナーを5日間連続して行い、それでも平気な顔をされていらっしゃるのが不思議です。さすがに最終日にはのどを痛められ、大変申し訳ない気持ちで一杯でした。ちょうどお疲れの四日目の夕方には、森永先生の講義をいただく事が出来、参加者の皆さんには、研究に対するテクニックとフィロソフィーとセンスを身に付けて頂けたのではないかと思います。私もほんの少しばかり、第七章のオキソアニオンと第八章の金属錯体の項目を担当させて頂きました。

 セミナーハウスは、ニュータウンに挟まれた山の中(野猿峠)にあり、建物の形は一つ一つ個性があって美しく、周囲の木々と調和して最高のロケーションでした。とはいえ近所で買い出しが出来ないのが難点で、三菱化学の上田恭太さんや吉村文孝さん、芝浦工大の小林岳史さんのご協力をいただき、京王堀之内駅のスーパー三和まで買い出しに行きました。石井が都立大勤務時代には毎日のようにお世話になっていたスーパーなのですが、11年の時を経てすっかり変わってしまい、少し寂しく思いました。産総研の今村元泰さんからは、とてもおいしいワインをたくさん差し入れて頂きました。ありがとうございます。

 今回は、史上最年少の渡辺泉翔さん(慶応大B2)を始め、学部3年生や4年生など、例年に比べて若い参加者の方が多く、DV-Xα法を始めとした計算科学への興味が、若い世代の学生の皆さんに持って頂いている印象を受けました。来年の場所は未定ですが、出来るだけ早い時期に場所と日時を決定させたいと思っています。とても熱い、滅多に体験できない「熱い夏」を、まだ体験していない方は、2013年の夏に是非ご参加下さい。参加資格はただ一つ、「気持ちが若い方」となっております。是非一度、下記のホームページをご覧下さい。(夏の学校の公式ホームページは、
http://www.eng.kagawa-u.ac.jp/~tishii/Lab/DVSummerSchool/
です)。

 最後に、申込の時点から退出の時まで、とても丁寧に対応して下さった八王子セミナーハウスの宿泊係の皆様には、心から感謝いたします。


※夏の学校の概要

 この夏の学校では、内容がDV-Xα法の理論や応用に偏るということはなく、全般を通して量子材料科学の基本をじっくりと学ぶためのスケジュールが組まれています。足立裕彦先生が作られた教科書は12章、プラス付録16章から構成されていますが、森永正彦先生の講義を含めて5日間の夏の学校の期間内で全てを網羅できるようなカリキュラムになっています。他にも、パソコンを用いた計算実習の時間がたっぷりと盛り込まれています。足立先生の教科書は付録も充実しており、角運動量・Noumerovの方法・DIRACFGの使い方・分子の対称性・軌道の混成・分子軌道計算の実際・電子分光・イオン結晶中の静電場・原子間距離・原子軌道の重なり積分・スピン分極・Xα法における交換ポテンシャル・原子核近傍の電子構造、LagrangeおよびHamilton方程式、摂動論、スレーターの遷移状態法なども詳しく学ぶことができます。大学の授業や研究室での議論は、どうしても物質も現象も限られていて、狭い知識しか学ぶことができないのですが、この夏の学校では、あらゆる物質や現象に共通する量子材料科学とその電子論を基本から学ぶことができるため、個々の独立した知識を互いの関連性と結びつけながら理解を深めていくことができます。しかも5日間というある程度まとまった期間で集中的に学習できるため、効率よく、あらゆるジャンルの知識を身につけることができます。もしも独学で教科書を読んでいたら一年や二年かかってしまう内容が、5日間という短期間で集中して勉強できるということが最大のメリットです。


DV-Xα夏の学校のホームページ
http://www.eng.kagawa-u.ac.jp/~tishii/Lab/DVSummerSchool/