第五回DV-Xα夏の学校が終了いたしました。過去四度の夏の学校を全て関西地区で行ってきましたが、今回初めて関東地区で開催することが出来ました。猛暑の中の筑波はとても暑かったのですが、参加者の皆様は、暑さに負けない熱意で、昼間は量子材料科学の勉強を、そして夜は毎晩大いにお酒を飲み、親睦を深めていただきました。今年からスペクトルの説明なども加わり、ますます密度の濃い夏の学校となりました。参加者の皆様は、大変お疲れ様でした。
主催
DV-Xα研究協会(HP)
協賛(予定)
錯体化学会(HP)
社団法人日本金属学会(HP)
社団法人日本鉄鋼協会(HP)
社団法人日本表面科学会(HP)
社団法人電気化学会(HP)
社団法人日本原子力学会(HP)
社団法人日本材料学会(HP)
日本高圧力学会(HP)
日本結晶学会(HP)
日本鉱物科学会(HP)
炭素材料学会(HP)
日本希土類学会(HP)
社団法人日本化学会 ほか
対象
学部生・大学院生と若手研究者(27名まで)
日時
平成22年8月17日(火)午後1時から21日(土)正午まで(4泊5日)
場所
筑波研修センター(HP)
〒305-0005 茨城県つくば市天久保1-13-5(場所はこちら)
電話:029-851-5152
つくばエクスプレスつくば駅からバスで
「筑波メディカルセンター前」バス停下車徒歩約8分など
(アクセスについては、こちらをご覧下さい(HP))
講師
足立裕彦、森永正彦
内容
1.序論
2.原子構造理論と電子状態計算の実習
3.分子軌道論と簡単な分子の軌道計算
4.金属錯体の電子状態計算と化学結合論
5.セラミックス、金属材料の量子化学
費用
参加費(食費、宿泊費、資料代込み)
(食費は朝食、昼食、夕食、各4回を含む)
学生 40,000円
一般 55,000円 (DV-Xα研究協会又は協賛学協会の正会員)
65,000円 (非会員)
※計算実習を行うので各自パソコンを持参のこと。
平成22年8月6日(金)
宿泊施設の都合で、先着27名までで締め切らせていただきます。
また、準備の都合がありますので、できるだけ早く
申し込んで頂けましたら幸いです。
申込先
〒520-0016 滋賀県大津市比叡平3丁目53-12
DV-Xα研究協会事務局
Tel & Fax: 077-529-0374
e-mail: dvxa@e-mail.jp
申し込みは、メールでお願いします。
問い合わせ先
〒761-0396 香川県高松市林町2217-20
香川大学工学部材料創造工学科
石井知彦
Tel & Fax: 087-864-2414
e-mail: mail@tishii.com
第五回夏の学校「量子材料科学セミナー」実施報告
香川大学工学部 石井知彦
DV-Xα研究協会では、毎年夏に、若手の研究者と大学生・院生を対象とした夏の学校「量子材料科学セミナー」を開催しています。五周年を迎えた今回は、初めて関東地区での開催を試みました。過去四回は、全て西日本(下呂、淡路島、兵庫三田、SPring-8)で行ってきました。そこで今回は、東日本の方々に参加しやすい環境を作るため、筑波研修センターで行いました。この一年間、夏の学校の候補地を熱心に探して下さった三菱化学の上田さんや東工大の尾上先生、および原研の平田さんには心から感謝いたします。結果的には、今回の参加者14名のうち、半数以上は西日本地区の方々でした。従って、来年度(第六回、2011年度)は西日本での開催に戻してみようかなと考えております。
さて筑波は、TX(つくばエクスプレス)が開通したために、2010年現在、特例市の中では全国一の人口増加率を誇ります。しかし、筑波特有の広々とした道路と区画整理のおかげで、一つ一つのブロックの長さが長く、町中を徒歩で移動するのが大変です。筑波研修センターの周りは、飲み屋さんなどの夜の飲食店は数多くあるのですが、コンビニやスーパーなどはやや離れているので、少し不便に感じました。今回、参加者の一人である産総研の今村さんは、筑波にお住まいと言うこともあり、車を出して下さいました。そして、毎晩開催される懇親会の買い出しにも付き合って下さり、大変助かりました。また今村さんは、おいしいワインのコレクターでもあり、毎晩、ブルゴーニュー地方の貴重なワインをたくさん飲ませていただきました。今村さん、大変ありがとうございました。
足立裕彦先生は、今回初めて光イオン化過程や光電子スペクトル(UPS)、スレーターの遷移状態についても、お話しされました。先生は大変お元気な方で、毎年、朝9時から夕方6時までのセミナーの後、深夜24時25時まで続く懇親会で大量にお酒を飲まれ、翌朝7時半には元気に朝食を召し上がります。5日間ずっとお元気です。しかし今年は、初日から足立先生のノドの調子が悪く、大変心配しました。連日お酒を飲み、次第にパワーアップされ、いつもの元気な講義を5日間行って下さいました。私の定年退職まであと23年間、夏の学校を続けることが出来ると、確信いたしました。
前述しましたが、来年はまた西日本での開催を検討しています。とても熱い、滅多に体験できない「熱い夏」を、まだ体験していない方は、2011年の夏に是非ご参加下さい。参加資格はただ一つ、「気持ちが若い方」となっております。是非一度、下記のホームページをご覧下さい。(夏の学校の公式ホームページは、http://www.eng.kagawa-u.ac.jp/~tishii/Lab/DVSummerSchool/です)。
最後に、大変親切にして下さった、筑波研修センターの皆様に、心から感謝いたします。
※夏の学校の概要
内容がDV-Xα法の理論や応用に偏るということはなく、全般を通して量子材料科学の基本をじっくりと学ぶためのスケジュールが組まれています。足立裕彦先生が作られた教科書は12章、プラス付録16章から構成されていますが、森永正彦先生の講義を含めて5日間の夏の学校の期間内で全てを網羅できるようなカリキュラムになっています。他にも、パソコンを用いた計算実習の時間がたっぷりと盛り込まれています。足立先生の教科書は付録も充実しており、角運動量・Noumerovの方法・DIRACFGの使い方・分子の対称性・軌道の混成・分子軌道計算の実際・電子分光・イオン結晶中の静電場・原子間距離・原子軌道の重なり積分・スピン分極・Xα法における交換ポテンシャル・原子核近傍の電子構造、LagrangeおよびHamilton方程式、摂動論、スレーターの遷移状態法なども詳しく学ぶことができます。大学の授業や研究室での議論は、どうしても物質も現象も限られていて、狭い知識しか学ぶことができないのですが、この夏の学校では、あらゆる物質や現象に共通する量子材料科学とその電子論を基本から学ぶことができるため、個々の独立した知識を互いの関連性と結びつけながら理解を深めていくことができます。しかも5日間というある程度まとまった期間で集中的に学習できるため、効率よく、あらゆるジャンルの知識を身につけることができます。もしも独学で教科書を読んでいたら一年や二年かかってしまう内容が、5日間という短期間で集中して勉強できるということが最大のメリットです。