■チタン合金(Ti-6Al-4V)合金の新規な結晶粒微細化プロセス
当研究グループでは、α'マルテンサイト組織を出発組織として、適切な条件で温間・熱間 加工を施すことで均質な超微細粒組織を形成する事を見出しました(右図参照)。これは微細組 織形態、多量の内部欠陥、準安定状態、多量の{10-11}内部双晶の形成などのマルテンサイト の特徴から従来は活発に発現しない不連続型の動的再結晶が活発に起こるためであることを明 らかに致しました(下図参照)。
この超微細粒組織形成に伴い、素材は高延性(靱性)を維持して著しく高強度化されることが 示され、加工プロセスも既存のプロセスが利用可能で、自動車用・航空機用を中心とした応用 展開が可能となり、現在は国内のメーカー、海外(フランス)の研究機関(アルビ鉱山大学)と密 接に連携して研究を遂行している所です。
文献) 例えば
・H.Matsumoto et al., Adv. Eng. Mater., 13 (2011) 470-474.
・H Matsumoto et al., Metall. Mater. Trans., A44 (2013) 3245-3260.
■超微細ヘテロ組織および準安定組織を利用したチタン合金(Ti-6Al-4V,Ti-6Al-2Sn-4Zr-2Mo-Si)合金の超塑性変形特性の低温・高速化
上記した、マルテンサイト組織を利用した組織制御プロセスの一環で、加工プロセス制御でマルテンサイト組織を含む準安定組織形成、超微細等軸組織と未再結晶伸長粒の混在したヘテロ組織形成、準安定α単相状態、および過剰β析出した微細組織形態などの特異な組織制御を行った。これにより、従来の超微細粒組織の場合と比較して、優れた超塑性の低温・高速化に成功している。これは粒界すべりを活性化させるための微細組織制御に加え、準安定状態やヘテロ組織形態を利用した応力緩和の付随調整機構補助の機構をより活性化させた事に起因する。本研究では、準安定組織状態・不均質(ヘテロ)組織形態を利用した航空機チタン合金の新規な組織制御と加工プロセスにチャレンジしている。
また塑性構成式の構築・最適化を行い、有限要素解析と併せた複雑形状への加工の可能性についても評価・検討を行っている。
文献) 例えば
・H. Matsumoto et al., Mater. Let. 98 (2013) 209-212.
・H. Matsumoto et al., Mater. Design 66 (2015) 611-617.
・H. Matsumoto et al., Adv. Eng. Mater., (2017) DOI:10.1002/adem20170317]
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