さる平成24年2月17日,「ものづくり日本大賞」の表彰式が執り行われました. 「ものづくり日本大賞」は製造・生産現場の中核を担っている中堅人材や伝統的 ・文化的な「技」を支えてきた熟練人材、今後を担う若年人材など、「ものづくり」に 携わっている各世代の人材のうち、特に優秀と認められる人材を顕彰するものです. 本大賞創設時の経済産業大臣であった甘利明氏からは,創設に当って次のような メッセージが送られています. 日本はものづくりの国. 我が国がこれからも確固たる経済的地位を 確保していくためには、決して、 ものづくりを忘れてはなりません. 経済産業大臣 甘利 明 日本国は戦後の半世紀の間,着実に技術力を高め,日本人のもつ勤勉さと創造力を 礎として,類稀な精密さと信頼性を武器とする多数の優れた製品を産み出し,世界中で 高い評価を受けています.それに伴い我が国は大きく発展し,確固たる経済的地位を 確保しております.まさに「ものづくりの国」でありました. しかしながら近年の金融危機に端を発する大幅な円高や,新興国の産業隆盛, 国内では高度な技術を有する団塊世代の技術者大量退職,特に昨年発生した東日本大震災 の影響の前に日本国の産業は大きな変革を余儀なくされております.このような 状況の中で,次世代の我が国の産業を背負って立つべき若者の理工系離れが深刻な問 題となっております.若者が科学技術への興味をなくしている現状を鑑みるに, 我が国の「ものづくり」が基盤から揺らいでいるのではないかと心配の種は尽き ません. 省みるに子供の頃から実体験に基づいた科学技術教育ができてないことに遠因が あるのではないでしょうか.自らの手を動かし,ものづくりをする体験を通じて, その素晴らしさと喜びを実感できるようにしなければ,これより先世界に挑戦し ていける技術者を育てることは困難となってしまうのではないでしょうか. 我が国がこれからも科学技術立国として世界と互していくためには創造力豊かな 若い技術者を育成していかなくてはなりません.それは大学の責務でもあります. 香川大学工学部では,学生が自らの手で「ものづくり」の体験と実践を行える 場所として「ものづくり工房」を設置しました.ものづくり工房では,ものづく り技術者を育てるための実践的な教育と共に,先端的な研究も行います.また, 地域の子供達にものづくりの楽しさを体感してもらうためのイベントも企画して おります. 私共は,ものづくり工房の所期の目的を達成するために着実にその歩を進めて まいりますが,皆様のご理解とご支援を賜りますよう心よりお願い申し上げます. |