2007年度DV-Xα夏の学校



 第二回DV-Xα夏の学校が終了いたしました。今年も5日間、朝から晩までじっくりと量子材料科学について勉強を行いました。会場となった淡路島のゆうなぎ荘は、神戸製鋼所の保養所ですが、とてもすばらしい建物で、食事もとてもおいしかったです。


概要

DV-Xα研究協会第二回夏の学校―「量子材料科学」セミナー
対象:大学院生と若手研究者(20 名以内)
日時:平成19年8月23日(木)午後から27日(月)午前中まで(4泊5日)
場所:神戸製鋼所淡路島保養所「ゆうなぎ荘
住所:〒656-2401 兵庫県淡路市岩屋1833-4(場所はこちら
電話:0799-72-2175

交通:JR明石駅〜明石港〜(明淡高速船、13分)〜岩屋港〜(淡路交通バス、8分)
〜徒歩8分〜保養所、あるいはJR舞子駅〜高速舞子〜(海峡高速バス、13 分)
〜岩屋ポート乗り換え〜(淡路交通バス、8分)〜徒歩8分〜保養所

講師:足立裕彦、那須三郎、森永正彦

内容
1.序論
2.原子構造理論と電子状態計算の実習
3.分子軌道論と簡単な分子の軌道計算
4.金属錯体の電子状態計算と化学結合論
5.セラミックス、金属材料の量子化学

費用:参加費(宿泊費、資料代込み)
学生 4.5 万円
一般 6 万円 (DV-Xα研究協会会員又は維持会員)
7 万円 (非会員)

申込締め切り:平成19年7月14日(土)
先着20名までで準備の都合がありますので、できるだけ早く申し込んでください。

申込先: DV-Xα研究協会事務局
e-mail: dvxa@e-mail.jp
申し込みは、メールでお願いします。

※計算実習を行うので各自パソコンを持参のこと。


参加者リスト


集合写真のダウンロード

(平成19年8月25日)明石海峡大橋(3.8 MB)

(平成19年8月27日)バーベキュー(4.8 MB)


兵庫教育大、小和田先生の写真のページは、こちら
兵庫県立大、天野さんの夏の学校ページは、こちら


授業


卓球大会


昼食


夕食


夜の学校


バーベキュー


第二回夏の学校「量子材料科学セミナー」参加報告

香川大学工学部 石井知彦

 DV-Xα研究協会では、若手の研究者および大学院生を対象とした量子材料科学セミナーを、夏の学校という形式で開催しています。この試みは、昨年から始められました。昨年の第一回夏の学校では、全国から20名の若手研究者と学生の皆さんに岐阜県の下呂温泉に集まっていただきました。5日間昼も夜もじっくりと議論することができ、また参加者同士の交流も深まり、大変好評でした。この様なセミナーを是非とも毎年開催したいという願いから、今年も第二回夏の学校を開催することとなりました。私も開催のお手伝いをさせていただきながらも参加させていただきましたので、ご報告させていただきます。

 DV-Xα研究協会とは、当然深い関わりがあるのですが、この夏の学校では内容がDV-Xα法の理論や応用に偏るということはなく、全般を通して量子材料科学の基本をじっくりと学ぶための講義となっています。足立先生が作成された教科書は下記の12章から構成されていますが、那須先生、森永先生の講義を含めておおよそ5日間の夏の学校の期間内で全てを網羅できるようなカリキュラムになっています。

足立先生の講義
第1章 序論
第2章 波動力学
第3章 水素原子の波動力学
第4章 多電子原子の原子軌道
第5章 分子軌道論
第6章 簡単な分子の分子軌道
第7章 オキソアニオンの分子軌道
第8章 遷移金属錯体の電子状態と化学結合
第9章 金属酸化物の電子状態と化学結合
第10章 自由電子模型に基づいた量子論
第11章 ブロッホ関数
第12章 多電子状態理論

那須先生の講義
原子核・放射線を用いた材料科学研究

森永先生の講義
電子レベルからの合金設計

 普段の研究室での議論は、どうしても物質も現象も限られていて、狭く深い知識しか学ぶことができないのですが、年一回のDV-Xα研究会では、幅広い物質と現象が取り上げられるため、広く(浅く)知識をつけることができます。それに加えて、この夏の学校では、全ての物質・現象に共通する量子材料科学とその電子論を基本から学ぶことができるため、個々の独立した知識を互いの関連性と結びつけながら理解を深めていくことができます。しかも5日間という短期間で集中的に学習できるため、効率よく、あらゆるジャンルの知識をつけることができます。もしも独学で教科書を読んでいたら半年や一年かかってしまう内容が、5日間という短期間で集中して勉強できるということが最大のメリットです。

 さて、今年の夏の学校は、兵庫県の淡路島で行われました。株式会社神戸製鋼所の保養所である「ゆうなぎ荘」を4泊5日お借りして、去年と同じく20名の参加者を募集して夏の学校を行いました。ゆうなぎ荘はとても綺麗な建物で、また目の前には巨大な明石海峡大橋が広がっていて、景色も最高に素晴らしい場所でした。また食事のレベルがとても高く、朝から晩までの集中講義で疲れてしまった頭も、おいしい食事を食べることによってまた元気を取り戻していました。生活はとても規則正しいもので、朝食を朝7時半にいただき、午前中の講義は9時から12時まで、昼食後に午後の講義を6時まで行い、夕食は7時という感じでした。夕食後は卓球やカラオケ、トレーニングジムなどで各自気分転換を行い、露天風呂に入りながらゆっくりと過ごし、さらに毎晩開催された「夜の学校」では、講師の先生方と参加者とが自由に意見を交換し、懇親を深めていきました。ゆうなぎ荘の方にはご配慮いただき、最終日の昼食にはバーベキューを行いました。夏の学校の締めくくりを、みんな大汗をかきながら楽しく交流していました。

 参加者の多くが若い学生であるということもあって、また所属研究室がDV-Xα研究協会とつながりがあり、同じ境遇という連帯感もあって、学生同士はお互いに交流を深め、情報交換を活発に行っていたようでした。

 最後になりましたが、会場を快く提供してくださった(株)神戸製鋼所ゆうなぎ荘と、会場の手配でお世話になりました逸見義男様には心から感謝いたします。また、夏の学校テキストにつきましてお世話になりましたDV-Xα研究協会教育委員会の先生方(湯川宏先生、水野正隆先生、小和田善之先生、坂根弦太先生)には、ファイル変換とサーバ準備に大変お世話になりました。また、素晴らしい講義を行って下さった那須三郎先生と森永正彦先生、そして何よりものどを嗄らしながらも、5日間熱心にじっくりと丁寧に講義をしてくださった足立裕彦先生に心から感謝いたします。