北島研究室

香川大学創造工学部 創造工学科

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数理モデル

数理モデル

いろいろな自然現象を式を使って表すことができます.神経細胞の電気特性を表すモデルや,生物の個体数の増減を記述するモデル,遺伝子のモデル,など様々な数理モデルがあります.

自然現象を微分方程式でモデル化するとはどういうことでしょうか?一番簡単な例として自由落下運動を考えます.
ニュートンの運動の第2法則(運動方程式)によると,質量 m の物体が加速度 a で動いているときに働く力を F とすると ma = F という式が成り立ちます.

図のように上向きに座標系として x をとります.すると速度は x の t に対する微分 dx/dt で,加速度は速度の時間微分 d2 x / dt2 (=d/dt (dx/dt)) で与えられます.
質量 m の物体には重力として,下向きにmg (ここで g は重力加速度)が働きます.以上の事と上の式(ma = F)を比較すると m d2x/dt2 = -mg

となり両辺から m を消去すると d2x/ dt2 = -g を得ることができます.
この微分方程式を解くと(初期条件として t = 0 の時に dx/dt(速度) = 0), dx/dt = -gt (速度は -gt で与えられる!) 更にもう一度解くと(条件として t = 0 で x = 0) x = -gt2 / 2 (物体の座標(位置)は -gt2/2 で与えられる) が分かります.

心臓数理モデルの解析

北島研究室では,様々な数理モデルの解析を行っていますが,ここでは心臓の数理モデル解析について紹介します.

左の図は脈波の模式図です.図のような脈の大きさが大小…を繰り返す脈を交互脈と呼び,このような脈が出ると突然死のリスクが高くなることが知られています.
本研究では,心臓の細胞のネットワーク構造を数理モデルで表し,解析を行いました.

結果として左の図を得ました.横軸は,モデルの中に含まれるパラメータ(注釈参照)の一つ(カリウムの平衡電位)です.縦軸は,細胞の電圧の最大値を表しています.(2)の矢印で示した点は2点となっています.最大値が2点をとると,上記の図のような交互脈の発生を意味します.
このように交互脈の発生要因が特定できれば,薬等によりパラメータの値を調整することで,交互脈の発生を抑制することが可能になります.

パラメータ

カオスを発生させるような式において,パラメータの値を変化させると解の性質が突然変わることがあります(分岐と呼びます).交互脈のモデルの中ではパラメータである EK1 の値を変化させると,-90 から -83 ぐらいまでは1点ですが,-82からは突然2点を打つようになります(これを周期倍分岐と呼びます).

分岐点を探ることが,交互脈の発生を探ることとなり,色々なパラメータ値を変化させて調べることで交互脈の発生に本質的に関わりのあるパラメータを特定することが可能となります.

本研究室では,このような分岐現象の解析を行っています.